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Nagy Art Literacy vol.1

 

「記憶 ⇄ 記録をつなぐ」 

アメリカ国立公文書館 写真資料調査レポート 

 

大坪晶(写真家/美術作家)と高嶋慈(美術批評)は、「Shadow in the House」プロジェクトとして、9月にアメリカ国立公文書館(NationalArchivesandRecordsAdministration,NARA)と、メリーランド大学プランゲ文庫(Gordon W. Prange Collection)にて、アーカイブ写真の調査を行いました。

今回のトークイベントでは、収集した写真を紹介しながら、作品「Shadow in the House」についてもご紹介します。


今回の主なリサーチ対象は、第二次世界大戦後の GHQ による占領期に、高級将校とその家族の住居として使用するため、強制的に接収された個人邸宅「接収住宅」にまつわる記録です。

「接収住宅」を含む「Dependents Housing(占領軍家族住宅)」が、戦後日本の生活文化 (核家族、和洋折衷の生活スタイル、下水道の整備など)や、価値観の変容のきっかけになったことは、近年の研究によって明らかになっています。「接収住宅」は、所有者(富 裕層)にとっては強制的に住処を奪われるという体験でした。

また、日本各地において「Dependents Housing(占領軍家族住宅)」が大量発注されたことは、その後、一般大衆レベルにおける欧米の生活スタイルの浸透のきっかけにもなりました。 当時の記録を見ながら、私たちが「想像し共有できるものと、できないものは何か」を共に考える機会としたいと思います。


助成 : アーツサポート関西、平成30年度 京都市立芸術大学 特別研究助成 

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作品「Shadow in the House」について


大坪晶の写真作品《Shadow in the House》シリーズは、時代の変遷とともに所有者が入れ替わり、多層的な記憶を持つ家の室内空間を被写体としています。室内に残る歴史の記録であると同時に、ダンサーが動いた身体の軌跡を長時間露光撮影によって「おぼろげな影」として写し込むことで、何かの気配や人がそこにいた痕跡を想像させます。それは、複数の住人の記憶が多重露光的に重なり合い、もはや明確な像を結ぶことのできない記憶の忘却を指し示すとともに、それでもなお困難な想起へと開かれた通路でもあります。


大坪は近年、日本各地に現存する「接収住宅」(第二次世界大戦後の GHQ による占領期に、高級将校とその家族の住居として使用するため、強制的に接収された個人邸宅)を対象とし、精力的なリサーチと撮影を続けています。撮影場所の選定にあたっては、建築史 や都市史研究者から提供を受けた論文や資料を参照するとともに、「接収住宅」の所有者 の遺族や管理者への聞き取りを行っています。
 

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開催日 11月18日(日)13:00〜

定員  20人

受講料 1,500円 (Nagy受講生、大学生は1,000円)

​※Nagy受講生はこれまでにNagyを受講された方全てを含みます。

講師  大坪 晶、高嶋 

場所 ​ ポルトギャラリー

シンポジウム(アートラボあいち_名古屋_京都市立芸術大学_芸術資源研究センター_

これまでのシンポジウム(アートラボあいち : 名古屋、京都市立芸術大学 芸術資源研究セン ター : 京都) 

お申し込み

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大坪 晶 

写真家・美術作家

2002年に京都文教大学 臨床心理学科を卒業後、2011年に東京藝術大学 先端芸術表現専攻修 士課程修了。2013年にチェコ共和国国費留学生として、プラハ工芸美術大学(AAAD)写真専 攻修士課程修了。 

Web :http://akiraotsubo.info

高嶋 慈


 

美術批評。京都市立芸術大学 芸術資源研究センター研究員。

ウェブマガジンartscapeにてレビューを連載中。 

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